うつ病からの回復を妨げる身近な存在。親切心の本音はワガママ?

心を病んだ人が、まず最初にしなければいけないことは『休む』ことです。体も頭も心も、ストレスを忘れ去るまでまずは休まなくては、回復できるものも回復しません。

けれど、その休息を妨げる大きな障壁となるものが、実は身近に存在しています。

目次

 

うつ病は心が疲れ切ってしまった状態

木の柵の写真

うつ病は、行動を起こそうという気持ちが底をついている状態になっています。だからこそ、仕事にも打ち込めないし、普段なら簡単にできることも難しくなり、好きだった趣味さえも手につかなくなります。寝起きして呼吸をするだけで精一杯な状態、それがうつ病の状態です。

そんな状態になってしまうには、様々な原因が考えられますが、真面目で責任感が強い人がかかりやすいと言われていますね。
真面目で責任感が強い人ほど、手を抜くことができず、常に気を張ってしまい、過度なストレスを抱え込みやすいからです。そうしている我慢の時間が長引けば、心は疲れを溜め込み、ちょっとやそっとでは回復できない状態に陥ってしまいます。

周りから見てみれば、その状態は単に怠けようとしている風に見えてしまい、注意や叱責を受けたり、時には迷惑をかけてしまったりして、余計に心を疲弊させる原因を作り出してしまいます。

心の状態を目で見ることはできません。目で見ることができれば、うつ病になりかけている人を見かけたら、率先して休んでもらうことができるのに。実際には、「働け!動け!」と過度な応援をしてしまいますよね。

 

その親切心は相手のことを思いやっている?

枯れた葉の写真

うつ病にかかっていると、本人やその周囲の人達がうつ病なんだと気が付いた時には、すでに症状は重くなっていることが多いです。身体的な変化に乏しいので、気が付きにくいという特徴が、症状を悪化させてしまいますが、これからがさらに症状を悪化させてしまう環境が待ち構えています。

あなたの家族や友達、恋人がうつ病にかかったことはありますか?もしあれば、あなたもこんな気持ちを抱えてしまい、抱えきれなくなった気持ちをうつ病になった相手にぶつけてしまうかもしれません。

うつ病の人は、一見すると身体的には健康そのものに見えます。咳き込んでいるわけでも、熱を出しているわけでもありませんからね。だからこそ、元気なのだと誤解してしまいますが、心の中では倒れ込み、見るも悲惨な状態に陥っているんです。

そんな時、家族や恋人、友達などから心無い言葉をぶつけられてしまい、回復もしていない内から自分に鞭打って活動しようとして、症状をさらに悪化させてしまいます。

「そんなにダラダラしていていいの?」
「そんなんで仕事に戻れる?」
「この先どうするか、ちゃんと考えてる?」
「そのままで大丈夫?」

これらの言葉の頭には「あなたの為を思って言うけど」という言葉がつきます。この言葉を付ければ、人はどんなひどい言葉でも言っていいんだと勘違いしていますよね。この言葉をぶつけられた相手が、どう感じるか、どれほどひどいことを言っているか、言った本人は微塵も理解していません。

この言葉の本音は、『うつ病の人が一緒にいて、自分のこの先の人生は大丈夫なんだろうか?』や『一緒にいる時間が苦痛になるのは嫌だな』という不安です。

もし家族や恋人がうつ病になったら、経済的に成り立たなくなってしまうかもしれない不安がありますよね。早く治して、今までのように普通に暮らしたいという本音が、思わず口から出てしまうんです。

友達がうつ病になった人も、早く元気になってほしいという気持ちから、何かに熱中していれば治るという風に、科学的ではない治療法を提案し、押し付けてくることもあります。

どちらも、自分が気持ちよく過ごせる環境を守りたいからという一心で、うつ病の人相手に無理難題を押し付けています。これでは、症状を悪化させて、治療の妨げをしているにすぎません。

 

正しい接し方は『見守る』こと

白い花の写真

病気の人を前にして、対応に困ることは普通です。今までそういった場面に出会っていなければ、初めての対応に戸惑うことは誰にでもあります。
けれど、対応に困ったとしても、間違った対応をとることだけはしてはいけません。例えば、うつ病の人に叱咤激励で活動させようとするなどは、もってのほかです。

本当に相手を思いやるならば、病気の原因と治療法とその対応方法を調べ、正しい方法で接することではないでしょうか。
本音が「自分が過ごしやすい環境で過ごしたい」だとしても、その為に相手のことを考えた接し方ができるなら、口先だけの偽善よりもはるかにマシです。

口先だけの偽善ではない、うつ病の人への正しい接し方は『見守る』ことです。これが意外と難しいんです。人は、身近な人にほど口や手が出やすいから。
病気になったら看病したいし、早く元気になってもらいたい。その為に病院にも付き添うし、必要な物があれば買い出しにも行きますよね。あれやこれやと世話を焼いている方が、看病する側としては気が紛れるんです。

でも、うつ病の人にその対応は間違いです。
あれやこれやと外野がうるさくなるほど、うつ病の人は「心配をかけちゃいけない。早く治らなきゃいけない」と動かない体に鞭打ってしまいます。一見は回復したかに思えるほど活動できるようになる人もいますが、それはただ無理をしているだけの状態に過ぎません。もちろん精魂尽き果てれば、それこそベッドから起き上がることもできないほどに悪化してしまいます。

うつ病の人への対応は、何もせずに見守るだけ。
決断を迫らないし、気晴らししようと誘うこともしない。
親切心を押し付けもしないし、嫌味も言わない。
生活時間を合わせようとしないし、食事が適当でも文句を言わない。
一日一回は顔を見て、挨拶をして、笑顔で見守るだけ。
たったそれだけでいいんです。何もせずに見守ってもらえることが、心の回復に必要なんです。

科学的に証明されていない民間療法や人から聞いた噂話の治療法では、心の病気は治りません。うつ病は心の風邪という言葉は、それくらい誰でも簡単にかかってしまう病気だということで、簡単に治る病気という意味ではないことを覚えていてください。

心を病むほどに疲れてしまった家族、恋人、友達に、そっと寄り添える優しさを持てる人が、一人でも多くなりますように。

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