そのやる気の減退は気のせいじゃない。『冬季うつ』を知ろう

寒くなると、途端に活動時間が短くなりますよね。日が短くなり、すぐに夜になってしまう冬には、「なんだかやる気になれない」という気持ちになることも多いのではないでしょうか。

しかし、その『やる気の減退』は単なる気のせいではないかもしれません。

目次

 

『冬季うつ』は冬限定の心の病気

軒下のツララの写真

秋が終わり、本格的な寒さが続くようになりましたね。冬になると、外に出るだけではなく、家の中でさえも暖房の効いた部屋から出ることさえも億劫になってしまっていませんか?

ただの面倒臭がりであればいいのですが、やる気の減退にとどまらず、気分の落ち込みや楽しかったはずの事が楽しめなくなったり、食べる量が増加したりしていたら、もしかしたら冬季うつの可能性が考えられます。

冬季うつは、日照時間が減少する秋冬にのみ発症する独特な心の病気です。
寒い時期にやる気の低下や気分の落ち込みを繰り返し、暖かくなってくると自然と回復していきます。自然と回復することから、自分が病気になっていたという自覚のない人もいます。

周りから見ていて、その人が心の病気になっているという認識がなく、「やる気がない」や「だらけている」などの注意をして、症状を悪化させてしまう場合もあります。

冬季うつは、近年になってから発見された心の病気であるせいか、認知度が低く、知らない人は多いのかもしれません。
けれど、対処を間違えば、冬が終わっても症状が回復せず、悪化してしまう可能性もあり得るのです。

冬だけ調子を落とし、春になれば自然と回復する。なんて、都合のいい病気とは考えないでください。
原因が日照時間の減少だけであれば、確かに春になるにつれて自然に回復していくことは考えられますが、もし、症状がある間に心のバランス自体を大きく崩してしまったら。病気を侮ってはいけません。

 

1.日光を浴びる習慣を

冬季うつの原因は、日照時間の減少によるホルモンバランスの乱れにあります。
太陽光という強い光源を浴びる時間が減ることで、睡眠を司るメラニン、そして幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が乱され、心と体に大きな影響を与えられてしまうのです。

この原因を解消するには、短い日照時間の中で思い切り太陽を浴びることです。
気晴らしの散歩に出てみたり、ウォーキングをしてみたり、読書する場所を家の中から外へと変えてみるのもおすすめです。

しかし、ここにはある注意があります。
それは、日焼け止めの存在です。

全身に日焼け止めを塗り、紫外線をカットする効果のある服や日傘やサンバイザーで全身を覆ってしまえば、せっかく太陽光を浴びにきた意味がなくなってしまいます。
一見、有害に思える紫外線でも、体内でカルシウムやビタミンDを生成するといった重要な働きをしてくれる存在なのです。それを遮断してしまえば、せっかく日光を浴びに外に出ても、家の中に閉じこもっているのと変わりありません。

そうはいっても、皮膚ガン予防や美容のためには日焼け止めはした方がいいのも事実。
そんな時は、背中や首、手など日焼けしても気にならない部分には日焼け止めを塗らず、日光浴をしてみてください。夏ほど強い紫外線ではないので、日光浴の時間だけなら日焼けも気にならないはずです。

 

2.生活リズムを一定に

朝が遅くなってしまうのも、冬の特徴ですよね。夜は早く来るのに、朝日はなかなか昇りません。そうすると、自然と目覚めの時間が遅くなってしまいませんか?

特に今は、通勤や通学がリモートに変わりました。家にいる時間が長くなったことで、自分の好きに時間を組み立てられますが、そのせいで生活リズムが崩れやすくもなっています。

朝、遅くまで寝ていませんか?
夜、遅くまで起きていませんか?
一日の食事は、きちんと食べられていますか?
食事メニューに偏りはありませんか?

体内のホルモンバランスが乱されて起こる冬季うつは、生活リズムを安定させることで予防に繋がります。
しかし、無理は禁物ですよ。調子が悪いのに無理をして運動したり、休まずに過ごしたりはしないように、いつも通りの生活を心がけてください。

起きる時間、寝る時間、食事メニューやタイミングなど、一日の流れを作り、安定した生活リズムで過ごしましょう。

 

「気のせい」にしないのが一番の予防法

木漏れ日の写真

心の病気は、体の病気に比べて気が付きにくいですよね。状態が目に見えない心は「気のせいだろう」と考えてしまい、なかなか治療や予防の行動に繋がりません。
けれど、意識を向けていれば、自分の心の調子がおかしいことに、気がつけるはずです。

「予防法を実践しているから大丈夫」なのではなく、自分の状態を正確に把握しようと意識を向けることが大切です。
心も体も、気になったら自分で調べ、自分でわからなければ診察してもらいましょう。
「気のせい」と思わず、自分に何かが起きていることを自覚しましょう。それが一番の予防法です。

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