あなたは次のどちらの記憶をより多く覚えていますか?
あなたが人に親切にした出来事。
あなたが人に親切にされた出来事。
人は、自分がしてもらった事よりもしてあげた方が35倍も記憶しています。
それはなぜだと思いますか?
目次
親切にされた記憶は忘れやすい?
心理学者トラフィモウが400人を対象とした実験を行いました。それは、親切にされた事と親切にした事をそれぞれ書き出すというものです。
その実験結果では、人は自分が人に親切にしてあげた出来事の方をより強く覚えているということがわかりました。比率にすると、『親切にしてあげた出来事35:親切にしてもらった出来事1』という偏りが出たのです。
この実験結果を見て、あなたはどう思いますか?
人に親切にされていないだけとは考えにくいでしょう。日常の中には、人との関わりはいくつもあって、その中で助けられている出来事は数えきれないほどに起きているからです。
綺麗に整えられた部屋。自分で掃除したのでなければ、誰かがやってくれた結果です。
美味しいご飯。自分で作ったのでなければ、誰かがあなたの為に作ってくれたものです。
ミスや失敗を慰めてもらえば、それは人からの優しさを受けています。
こうした日常の中の『人からの親切』は、当たり前すぎて記憶に残らないのかもしれませんね。
人は慣れ、そして忘れていく生き物です。親切にされることに慣れれば、その親切はいつか『当たり前』となり、感謝する対象から外してしまいます。親切にされたこと自体を忘れてしまえば、感謝することも恩返しすることもありません。
けれど、私はこうではないかと思う理由を別にあげたいと思います。
それは、将来の見返りを期待しているからではないでしょうか。
人が、自分がしてあげた親切を忘れないでいるのは、将来の見返りを期待している心があるからだとすると、親切にされた出来事よりも強く記憶しておけるのではないでしょうか。
「人に親切にすれば、その人からの恩返しが必ずあるはず」と考えていれば、その恩返しを待つ為に、自分がしてあげた親切を忘れないようにと記憶に留めようと、何度も何度も思い返し、記憶を強く残そうとするでしょう。
それが、してあげた親切を忘れないという仕組みなのではないかと思います。
誰でも人からの親切を受けている
人との関係は、対等です。一方通行な親切のやり取りはありえません。たとえ、その人から同じだけの親切や感謝が返されなくても、あなたの親切を見ていた誰かから返ってくることはありますよね。因果応報という考え方です。
自分がした事は、そのまま自分にいつか返ってくると考えれば、あなただけが周りに親切にしているわけではないと考えられます。
また、人からの親切は、相手に恥をかかせない為にさりげなく行われていることもあります。そんな時は、親切にされた方は誰かから親切にされたということ自体に気が付いていません。
あなたが誰かに行う親切もそうではありませんか?
気が付いていないだけで、思い出せないだけで、たくさんの人達から親切を受けています。
今日という一日を無事に過ごせた背景には、誰かの親切があったのかもしれないと考えると、たくさんの人に支えてもらいながら生きているのだと思いますよね。
見返りは求めない・期待しない
あなたは人から親切にされた出来事を、どれくらい思い出せましたか?
思い出せる数が少なくても、自己中心的な人間だというわけではないし、それが人間本来の脳や心の仕組みなのかもしれません。
心の仕組みというなら、誰だって人に親切にしたら、その見返りを期待してしまうものですよね。「あれだけ親切にしてあげたんだから」という思いは、心のどこかで誰もが思うこと。それを不謹慎だとは言いません。
けれど、それを言葉や態度に出さないようにしていれば、いつか記憶から薄れていくのではないでしょうか。
そうしていれば、親切にした出来事よりも親切にされた出来事をたくさん思い出せるようになるのではないでしょうか。
いつの日か、誰もが思うことがあります。
あの時、もっと優しくしてあげればよかった。
もっと大切にすればよかった。
もっと笑い合えたらよかった。
もっと気持ちを伝えればよかった。
親切にされた出来事よりも人に親切にしている出来事の方をたくさん覚えていても、人はいつかこう思い返す日がきます。
それは、頭のどこかで心のどこかで、人から親切にされた事をちゃんと覚えているからなのかもしれませんね。
あなたは、人から親切にされた出来事を思い出せますか?
それと同じ数だけ、人に親切にしていますか?
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