自分を労いながら前に進む。心理的ホメオスタシスを刺激しない方法

やろうと思っているのにできない。
行動したいのにできない。
それは自分の意志の弱さのせいだと思っていませんか?その『できない』原因は、脳の仕組みにあります。

目次

 

変化を邪魔する脳の仕組み『心理的ホメオスタシス』とは?

人の頭のイメージ画像

今の自分が好きではない、今より良くなりたい、自分を成長させたいなどの思いがあって、人は行動を起こし、前に進んでいきます。
しかし、その中で足踏みに留まってしまいやすい人がいます。あなたは前に進めていますか?

人生が波瀾万丈!という人は、あまり多くはありません。多くの人は、なんでもないような日常を繰り返し、そのまま歳を重ねて、いずれは死へと向かっていきます。
全く何も起きないかといえば、そうでもなく。日常の中にもちょっとしたハプニングや嬉しい出来事が起きますよね。

そうして生きている中で、「自分を変えたいな」と思ったことは何回ありますか?
そう思う度に、気がつけば元通りの生活に戻っていませんでしたか?

人は変わろうとするのには、想像以上のエネルギーが必要なのです。

体のある働きにホメオスタシスというものがあります。これは、体内の環境を保とうとする働きのことです。暑くなれば体温を下げる為に汗をかき、寒い時は体を震えさせて体温を上げようとします。この働きがあるからこそ、体は安定して機能を維持できています。

この働きは、心にもあると知っていますか?
心の場合、少々厄介な方向へと突き進んでしまう場合もあって、必ずしも自分自身の助けになるわけではないのです。
何に気をつけてほしいか、次の2点をご紹介します。

 

1.辛いことも維持してしまう

心理的ホメオスタシス。心に働きかける維持機能は、現状の辛い状態さえも維持しようと働きかけてしまうのが、最も大きなデメリットでしょう。

脳は変化を望まず、今と同じ状態であることを望みます。その為、新しいことを始めたりすると現れますよね、「面倒だな」と。
脳が「元の状態がいいよ」と強く訴えかけてくるのに、良い悪いに関係ありません。変化そのものに対して、脳はいち早く反応しているだけなのです。

例えば、残業を続けていると、だんだんと残業している状態が当たり前となり、残業しない状態に戻れなくなったことはありませんか?
本当は早く帰りたいと思っていたはずなのに、気が付くと残業の毎日。特にじわじわと残業時間が伸びてきている人は、なかなか抜け出せないかもしれません。

残業している間は、もちろん仕事に専念しているでしょう。多すぎる仕事量だったり、誰かの手伝いだったり内容は様々でも、「頑張っている!」や「やりきった!」という達成感を、おかしな方向へと繋げてしまう場合があります。

達成感で満たされた経験は、『通常よりも頑張った自分』に価値を見出してしまい、残業していない自分を不安に思ってしまいます。
残業をしなければ価値がないと思われたくないと感じ、無理にでも残業するようになってしまう人もいます。

また、心理的ホメオスタシスの働きによって、辛い残業でも「今日中にやらないといけない」や「自分一人でやらないといけない」と思い込みやすくなります。

また、この心理的ホメオスタシスの怖いところは、明らかな『改善』に対してまでも停止を訴えかけてくる点です。

 

2.明らかな改善にもデメリットを想像させる

今より状況が良くなるならば、誰でもその方向へ進みたがるものだし、選ぶことに難色を示したりはしませんよね。
けれど、心理的ホメオスタシスの働きは、そんなところでも嬉しくない影響を及ぼします。

明らかな改善、今より良くなるだろう見込みのある変化に対して、「どうなるかわからないよ?」や「今より悪くなったらどうする?」という不安や恐怖の感情で訴えてくるのです。
不安や恐怖を感じ取ってしまったら、躊躇せずにその道を選ぶのは、なかなか難しい決断ですね。

例えば、目の前に底の見えない穴があるのに、反対側まで飛び越えないといけない。計測した数値上では飛び越えられそうだけれど、どうにも怖くて足が震えてしまうようなもの。
恐怖を抱えた状態では失敗のイメージしか湧かず、踏み出すことそのものを諦めてしまったり、踏み出してもイメージした失敗へと引きずられて失敗したりで、行動の結果にも強く影響を及ぼします。

 

小さく短く変化を起こしていこう

ラベンダー畑にある椅子とテーブルの写真

変化の邪魔をする心理的ホメオスタシスを働かせない為には、ホメオスタシスを刺激しない方法がおすすめです。
それは『小さく短く変化していく』です。

脳が嫌いのは極端な変化です。例えば、早寝早起き生活をしていた人が夜型の生活にいきなり切り替えようとすると、ホメオスタシスは強く働きかけてきます。
そこで、脳に変化を悟らせないほど小さく・短いステップで、少しずつ変化を遂げていこうというのが、この方法です。

現状を変えたい。けれど、それに対する不安が強いと感じていたら、ほんの少しの変化から起こしてみませんか?
日記を1行だけ書いてみたり、本を1ページだけ読んでみたり。今までの日常にはなかった些細な変化を起こしててください。

心理的ホメオスタシスが反応できるのは、大きな変化です。
刺激しない小さな変化で、小さくステップアップしていきましょう。

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