心を豊かにする『足るを知る』とはどういう思考?

生き辛さや強い不安、その原因の一つは不足を埋めようと焦る気持ちかもしれません。『足るを知る』ことで不安は和らぎ、心を豊かにすることができるとしたら、あなたはどうしますか?

『足るを知る』と心が豊かになる

笑顔のイラスト

生き辛い世の中だから。何があるかわからないから。そう言って、安心を得るために必要なものをかき集めるように生きていませんか?
その生き方、まるでいつも崖っぷちに立っているように感じませんか?

人が生きる限り、悩みや不安から完全に解き放たれることは、残念ながらありません。だからと言って、不安に悩まされることが仕方がないと諦めることもありませんよ。
不安に対処し、適切に寄り添うことができれば、生き辛さというほど大きく強い不安に育ちはしないからです。

けれど、不安への対処を間違えると、不安を消しているはずの行動が、不安をより大きく強くさせてしまうことがあるので気を付けてください。
例えば、不安をお金で解決しようとする思考は、まさにその一つです。

現代社会では、お金は生きていくために必要不可欠です。生きるために必要な衣食住を得ることも、病気やケガになった時に治療を受けるときにもお金がかかります。
経済的に恵まれた環境であれば、生きることへの不安の一つ、それも大きな不安を取り除くことができると思うでしょう。
それが、とんでもない落とし穴です。

お金を得るために必死で働き、働いて得たお金を無駄遣いしてしまわないように節約に節約を重ねたら、その人生は幸せでしょうか?
働く時間を得るために、家族や友達と過ごす時間を割いていたら、大切な人達と過ごす唯一無二の幸福な時間は、どんどん減ってしまいます。
働いて得たお金を無駄遣いしないために、好きなことも興味を持ったことも、長続きしそうにないなら手を出さないとしたら、世界はどんどん狭くなってしまいます。

通帳にお金がたくさんあれば、それだけで幸せですか?
大切な人と過ごす時間よりも、やりたいことをやる人生よりも、節約してお金とだけ向き合う人生で幸せを感じられますか?

間違ってはいけません。
お金はもちろん生きていくために必要なものですが、人生で最優先しなければならないものではないことに、薄らと気が付いていたのではありませんか?
うまく言葉にできないその違和感を、見つめ直してみましょう。

人は不足している部分を埋めようとする本能があります。それは成長への大きなエネルギーを生み出す源にもなりますが、一歩間違えば自分を不安に縛り付ける鎖にもなってしまいます。

そこで提案です。
今の自分がどれほどの恵みの中で生きているのか、『足るを知る』を見つめ直してみましょう。

不足を数えるのは簡単です。人の本能はネガティブ寄りなので、誰でも簡単にいくつもの不足を数えることができます。
『足るを知る』はその逆。自分にあるもの、恵まれているもの、満たされているものを数えることです。

不足していると思うから、焦燥感が生まれる。
欠けている不安が、自信を失わせる。
自分は満たされていないという思い込みが、幸せを遠ざける。

人は自分の思い込みで、いとも簡単に不幸になれます。しかし、その逆もあるのです。
「余裕があればあるほど良い」という思い込みを手放しましょう。「〜でなければならない」という思い込みを手放しましょう。そうして、今の自分が持つものを見つめ直せば、心にしがみつく不安を和らげることができます。

1.思い込みを手放す

まずは、無意識の中に隠れている思い込みを手放しましょう。たくさんの思い込みがいくつも絡まって、思い込みを持っていることに自覚がない人は多いです。
けれど、思考をよく振り返ってみると、自分を苦しめている思い込みに気が付けます。

見極めるポイントは、「〜するべき」や「〜しなければならない」という言葉です。
例えば、「お金がないと幸せになれない」や「成長し続けられないと人より劣ってしまう」などがあるでしょう。

この思い込みは、生まれ育った環境や今現在の自分の周りの環境から刷り込まれることが多いです。周りにそういう発言をする人がいて、それが過半数以上だったり発言力のある人だったりすると、人は簡単にそれを「正しいことだから従わなければならない」と思い込みます。

けれど、これらの思い込みは自分のどこが欠けているか、不足しているかを数える行為そのものなので、幸せから遠ざかる思考と言えるでしょう。

こんな思い込みを持っていたら、生き辛くありませんか?
その思い込み、今すぐ手放しても大丈夫ですよ。

2.自分の『幸せの形』を考える

足るを知るには、『自分がどういう状態であれば幸せを感じられるのか』を考えることが大切です。

不足ばかりに目を向けていると、不安が強くなるし、幸せとは言えない状態に陥ります。常に足りないものを埋める方法を探して、一度埋めてもすぐに不足してしまうかもしれない不安に怯える状態です。
この状態は、自分がどういう状態であれば幸せなのかを誤解しています。

世間の常識、周りにいる人達が考える幸せのイメージに引っ張られてしまうと、幸せと感じないようなものに飛びついてしまいます。例えば、新しい商品や高額な商品など、見た目が良いものほど「これを手に入れたら幸せなんじゃないか?」と誤解しやすいですね。
けれど、実際には手に入れた瞬間こそ「やった!」という達成感はあっても、すぐに空虚感や不安に悩まされる状態に戻ります。それは、本当の幸せではないからです。

自分なりの『幸せの形』を考えてみましょう。
幸せは人それぞれです。衣食住が最低限揃っていれば幸せという人もいれば、最高級品を揃えてやっと幸せと感じる人もいます。
何が正しい・間違いではないのです。幸せは、その人がどう感じるかです。

自分の『幸せの形』が見えてくると、とにかく不足を埋めようとする行動は減っていくでしょう。

自分の幸せを知ろう

ガーベラの写真

『足るを知る』を単純に考えると、欲張らずにあるもので満足しなさいという意味に履き違えられることが多いですが、本質はそういう意味ではありません。

「これでいいや」という妥協ではなく、「これがいい」と認め、受け入れることです。

今、あなたが手にしているものは、これまでの人生で得てきたものばかり。時には失ったものもあるし、新たに得たものもありますね。それら全てに執着せず、得られたことに感謝し、今あるものに満足することが『足るを知る』ということです。

足るを知って、自分の本当の幸せを見直してみてください。

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