苦しみを増大させる『二の矢』の思考。想像力豊かな人ほど苦しくなる理由

「どうしよう」この思考が大きく深くなっていくと、自分自身で苦しみをつくり上げている状態に陥っています。仏教では、これを『二の矢』と呼び、人が苦しむ原因のひとつだとしています。

あなたは、自分自身に『二の矢』の苦しみを突き刺していませんか?

目次

 

苦しみを増す『二の矢』の正体

画鋲の写真

今回は、仏教から読み取る人生においての苦しみについてご紹介します。
仏教では、四つの苦しみがあるとされています。それは、生・老・病・死です。
この苦しみから逃れられることは決してない代わりに、どうにかその苦しみの程度を下げようと人は追求してきました。

仏教に帰依し、悟りを開けばこの苦しみから解放されるのかというと、そうではないようです。悟りを開いても、体も心も前と変わりません。変わったのは、どう捉えるかという思考なのです。

苦しみも、捉え方によっては地獄のような苦しみを味わいますが、逆を言えば、捉え方ひとつでそこまで苦しまずに済ませられるということを、仏教では教えています。

これを言い表したお話があります。苦しみを矢に例えたお話です。
人が生きていくには、ある程度の苦しみは必ずあるものとされています。周囲からの突然の攻撃や天災、病気など、数えきれないほどの苦難の可能性が、人生には存在しています。

人はその苦しみから、完全に解放されることも回避することもできません。これらの苦難に当たれば、苦しい辛いと思うのは当然のことです。
ここで一つ目の矢、一の矢が刺さりました。一の矢は、苦しみそのものにぶつかったことを指しています。病気になれば体は思うままにならず、痛みを感じることもあります。天災や事故に遭えば、形ある財産を失ったり、ケガをしてしまったりします。この苦しみが一の矢です。これは逃れることができない苦しみといわれています。

そして、ここから多くの人が自らに『二の矢』を放ち、さらなる苦しみを自分自身に与えてしまっているのです。
この二の矢があるのは、人だけとされています。

例えば、突然治療方法が確立していない難病になってしまい、日常生活を送ることすらも難しくなってしまったら、ほとんどの人が考えるのではないでしょうか。これから先に自分に起きるであろう不遇な人生を。

もう自由ではなくなってしまった。
人に頼らなければ何もできなくなってしまった。
家族にも周りの人達にも迷惑をかけてしまう。
これから何もできないようになってしまった自分に、生きている意味なんてない。

この思考が二の矢と呼ばれる苦しみです。
考えさえしなければ、この苦しみは湧きあがることはありませんでした。考えたからこそ、苦しみとして自分自身に突き刺さり、ぐるぐると出口のない苦しみを味わっているのです。

また、この二の矢はこの瞬間だけのものではありませんよね。ふとした時に何度も考えてしまえば、その時に再び苦しみを与えます。そしてさらに深く考え込んでしまい、あらゆる悩みと結び付けて、延々と悩み苦しむ状態を繰り返してしまうのです。

この繰り返す苦しみの思考は、とても大きなダメージを与えるのに、一向に威力が衰えません。それどころか、ますます威力を強めていってしまうほどです。

 

二の矢の思考を止める

湖に写った山の写真

誰にでも、生きている全ての生命に苦しみが待ち構えています。けれど、その苦しみからさらに強い苦しみを生み出すのは、人だけと言われているのは、この二の矢があるからです。

けれど、この二の矢を放たないという選択もできます。
それは、思考を止めることです。

人は、怒りや苦しみといった強い感情を抱いた時、その感情だけに執着し、さらに燃え上がらせるような行動を選択してしまいます。
そこで、二の矢の思考を止める為に、まずは思考自体を止めて冷静になることです。

思考を止め、冷静な自分になるには、いくつかの方法があります。その代表的な物が、深呼吸や瞑想などです。
強い思考に囚われない為の方法は、下記の記事も参考にしてみてください。
心理療法ACTでのマインドフルネスのやり方。『今に集中』とはどういう状態?
「逃げ出したい」その気持ちから離れられない原因は脳がストレスから回避させようとしている?

大切なことは、沸き上がった強い感情に引きずられてしまわないことです。その為には、沸き上がった感情や思考をまずは止めることが重要になります。
加速していきやすい初動を止められれば、冷静になることは難しくありません。それができれば、二の矢を放つか放たないかを選択する思考を持つ余裕がつくり出せます。

 

苦しみは想像の産物

雪と紅葉の写真

人の苦しみは、想像の産物といわれていることを知っていますか?
将来がどうなるかわからなくて不安、失敗してしまわないか不安、昔の出来事を思い出してイライラするなど、全て頭の中でイライラしたり不安に陥ったりすることを想像して、人は苦しみを味わっています。
つまり、自分で自分を苦しめているのです。

多くの偉人や学者が、「過去と未来を思うことで、人は苦しんでいる」といっています。
仏教でいう『二の矢』は、まさにその言葉のとおりでしたね。
あなたのこれまでの行動の中で、思い当たる出来事はありましたか?

人の想像力はとても豊かで、人によってはまるで現実の出来事のようなリアリティで空想することができます。想像した世界がリアルであるほど、その中で感じる不安や苦しみもまたリアルに感じられるでしょう。

想像するならば、嬉しいことを想像してみませんか?
わざわざ逃れようのない苦しみがくる未来を想像して、今から苦しみを味わっても、取り越し苦労で終わる場合もあるのです。
人は想像した通りに生きるともいいます。楽しい人生を想像しましょう。

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