コントロールや制御で感情を抑える行為は、つまり自分自身を抑圧しているのも同じだと気付いていますか?
そのまま抑圧し続ければ、より複雑化した感情と向き合わなくてはならないかもしれません。
表面的な症状を解決する対処療法、根本の問題を解決する根治療法。
あなたの悩みにはどちらの解決方法が適切だと思いますか?
目次
『コントロール』では治らない
アンガーマネジメントに代表される自分の感情をコントロールする方法は、数えきれないほど世の中に広まっていますね。
症状を軽減・制御するという意味では、確かに効果的です。即効性があるものもあれば、慣れればうまく感情をコントロールできるものもあります。
しかし、そのどれもが表面的な解決策でしかないことに気が付いていますか?
対処療法は、表面に見えている症状に対して処置を施すもので、根本の部分に燻っている抑圧した感情や本来の原因などは治療対象外なのです。
つまり、運良く何らかのキッカケで根本部分が解消されない限り、いつまでも自分をコントロールし続けなければならず、手法を間違えば『自分を否定する行動』となって、あなたの心をより傷つけてしまう可能性があ流ことを知ってください。
間違えて欲しくないのは、対処療法が悪いわけではないということ。それだけに頼って「これで解決!」と思い込んでしまうことが危険なのです。
根本にある原因と向き合い・治す行動をとらなければ、いつまでも同じ問題にぶつかってしまい、何度も心が傷ついてしまいます。
あなたの心にある傷、抑圧した感情と向き合いませんか?
どうして向き合わなければならないのか、その理由を含めてご紹介します。
1.『怒り』が湧く理由を知る
多くの人が『感情コントロール』の対象に『怒り』を想定しています。
それは、怒りこそがコントロールできない感情の代表として扱われているからですが、本当にコントロールできていない人は、実はほとんどいません。
絶対に礼を欠いてはいけない相手に対しても、怒りをぶつけてしまうのであれば、それはコントロールできない状態と言って間違いありませんが、ほとんどの人は怒りをぶつける相手を『選んで』爆発させています。
それはつまり、『怒りをコントロールした上で爆発させている』状態と言えます。
コントロールしているのにコントロールしていないと思い込んでしまう怒り。その怒りは、どうして湧き上がるのだと思いますか?
嫌なことをされたから?厳しいことを言われたから?いいえ、違います。怒りは、ある感情の代わりに吹き出した次の段階の感情として表面に現れやすいだけなのです。
そして、その根源となる感情とは、悲しみ・不安・恐怖です。
爆発する怒りの根本にある感情の悲しみ・不安・恐怖は、どれも元は小さな一粒に過ぎません。それが日々降り積り、積み重なり、何年もかけて大きな
悲しみや不安、恐怖は一つ一つは小さくても、それが毎日降り積もっていけばどうなるでしょうか?
深く大きく降り積もった感情は、ちょっとした外部刺激にも即反応し、大きく爆発してしまいます。
例えば、お店の店員さんの態度に怒りをぶつける人を見たことはありますか?あの人達は、何が言いたいのかを分析してみましょう。
店員さんの態度や口調、言葉遣いが丁寧ではないことに怒りをぶつけ、土下座して謝れと怒鳴っている人がいます。
どうしてそこまで怒っているのか?
それは、『自分が蔑ろにされた』『価値のない人間として扱われた』と感じているからです。そして、そう思った原因は店員さんの態度ではなく、根本の原因はその人の中に抑圧され続けてきた感情にあります。
自分が蔑ろにされていると感じ続け、人の目が気になっている人は、ほんの些細な人の言動にも敏感です。
例題の場合、自分が思ったような接客を受けられなかったことが、『お前に丁寧な接客をしてやる価値はない』と見下されたと感じたことで、店員さんに怒りをぶつける行動に出ました。
自分の中にある深い傷(抑圧した感情)は痛みを感じていますが、それに目を向けてしまうのはもっと辛くて怖いから、自分以外の人を攻撃することで自分を保とうとしています。
それが、怒りが湧く理由です。
このような『怒りの根本理由』がある状態で、『怒りが爆発しないようコントロール』する方法は適切でしょうか?
相手に怒りをぶつけない為のその場限りの対処法としては間違いではないとも言えますが、根本的な解決にならないだけでなく、自分自身を諌めるつもりが「お前はなんてダメなんだ」と批判してしまう間違った対処法にもなりかねません。
2.根本への意識の向け方
『怒りの湧く理由』から、根本的な解決がなされなければ、より自分自身を傷つけ、より深い悲しみとその先に待つ怒りを蓄えてしまうかもしれないことがわかりました。
では、どうすれば根本へ意識を向け、怒りが出やすい状態を治していけるのかをご紹介します。
その答えは、自問自答にあります。
怒りを感じるのは瞬きほどの一瞬で、外部刺激が記憶と感情に繋がり、即座に連鎖反応を引き起こし、怒りを湧き上がらせます。
そのスピードを遮断するのは到底無理な話ですよね。
意識を向けるべきは、怒りが湧いた直後です。
その時に、こんな声かけと問いかけを自分にしてみてください。
「私は悲しい」→「どうして悲しい?」
怒りは二次感情です。表面的な怒りにばかり対処しても、原因に触れなければ解決には至りません。
怒りが湧いたら、まずは自分が悲しい・不安・恐怖のいずれかを感じていることに気が付きましょう。その為の声かけが、「私は悲しい」です。
「私は悲しい」
声に出すとより効果的です。声に出し、自分が悲しいと感じていること、不安に感じていること、怖いと感じていることの自覚を促します。
問題を表層にある怒りから、根本にある感情へ向け直しましょう。
次に、「どうして悲しい?」と問いかけます。
この問いかけにより、自分でも気が付いていなかった抑圧した感情や納得していない過去の出来事など、抱え込んだまま無意識の領域に詰め込んでいた根本に意識を向けることができます。
けれど、一度では把握しきることはできません。元々、目を背けたくて無意識の領域に隠した感情なので、どうして?と問いかけても、どうしてなのか答えを見つけ出すのには時間がかかります。
それでも、問いかけて考えてみてください。自分の中にある課題・問題を照らし出しましょう。
3.対処と根治のバランス
根本に触れようとする行為は、辛い・苦しい思いを伴うものです。途中で逃げたくなるほど、『向き合う』のは簡単ではありません。
そのハードルを軽減してくれるのが、対処療法でもあります。
根本に抱えた感情は、満たされなかった・納得できなかった思いです。
自分には何かが欠けている。十分ではない。完璧ではない。その不安から人と接するのが怖くなり、人の言動に過敏になり、そうやって積み重ねた日々の分も抑圧し続けています。
そのような状態で「自信を持って行動すれば大丈夫」と言われても、「その一歩が自分には無理」と思ってしまいますよね。
そこで、感情をコントロールする『対処療法』が役に立ちます。
感情をコントロールする=自分にも出来たという成功体験を積み重ねることで、自信や自己肯定感を高め、根本に向き合う心の準備を整えていけるのです。
何の準備もなく、断崖絶壁を飛び越えるのは足がすくんで動けませんよね。けれど、飛び越える距離を知り、天候や風向き、自分の状態を調整するなど準備ができていれば、その行動を選び取れるかもしれませんし、飛び越えられるかもしれません。
対処療法は、『現在の自分』に対する治療の一環で、根治療法は『過去と現在の自分』に対する治療と考えてみてください。
そうすると、両方のバランスが取れたら素敵な効果が発揮されると思いませんか?
症状が出なくなれば解決?
悩んでいる症状が出なくなれば、それで問題は解決したことになるでしょうか?
医療の世界では、症状が表面的に現れていなくても、原因となっている菌やウイルスが死滅していなければ、人体の中で息を潜め、さらなる進化を遂げて薬に耐性のある耐性菌へとなってしまい、よりひどい症状となって現れ、治療は困難になっていきます。
メンタルケアの世界でも同じことが言えます。
目に見える表面的な症状が出なければ、それで解決ではありません。
本当の課題・問題は、心の奥に眠らせた部分にこそあります。
向き合いたくない、見たくない、気付きたくないと蓋をした無意識の中にこそ、向き合うべき課題・問題を隠しています。
どうして隠してしまうのか、向き合うのが辛くて苦しいと知っているからです。
しかし、本当の解決には、そこに向き合わなくてはなりません。
向き合う準備を整え、楽に生きていける自分になれるよう、その一歩を踏み出してみませんか?
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